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ラウラ・ホンダ=ハセガワ

(Laura Honda-Hasegawa)

@laurahh

1947年サンパウロ生まれ。2009年まで教育の分野に携わる。以後、執筆活動に専念。エッセイ、短編小説、小説などを日系人の視点から描く。

子どものころ、母親が話してくれた日本の童話、中学生のころ読んだ「少女クラブ」、小津監督の数々の映画を見て、日本文化への憧れを育んだ。

(2023年5月 更新)


この執筆者によるストーリー

デカセギ・ストーリー
第四十七話(前編)「帰りたくても 帰れない」

2024年4月18日 • ラウラ・ホンダ=ハセガワ

2人の姉を持つ末っ子長男のエイジは、親に将来は医師になるよう言われ育った。姉たちは家事や両親が営むスーパーの手伝いをさせられたが、エイジだけは手伝いではなく勉強に集中するよういつも言われていた。 高校三年生になると、学校が終わるとすぐに塾へ行き、夜は自宅で勉強、週末も塾に通いテスト勉強に励むのが日課だった。 ある土曜日、遊びに来ていた3人のいとこに誘われ、エイジは塾をさぼって、リベルダーデの東洋街に行った。まるで魔法の世界に入り込んだようだった。見る物、聞く物、何もかも…

デカセギ・ストーリー
第四十六話 絵画のリハナは誰?

2024年2月27日 • ラウラ・ホンダ=ハセガワ

27歳の誕生日にハナは結婚した。相手は3歳年下のエイジと言うハナの同級生の弟だった。 半年前、その同級生はハナを訪ねて来た。弟が日本へ出稼ぎに行くことになったが、出稼ぎに行くなら結婚してから行った方が良いと言うことになり、お嫁さん探しをしているという。同級生はすぐにハナのことを思い出し、会いに来たのだった。 2年ほど前に失恋したハナは、結婚話にはあまり関心がなかったが、、憧れの日本で暮らす機会だと思い直し、エイジと会うことにした。それからふたりは付き合い始め、日本へ出発…

デカセギ・ストーリー
第四十五話 富士子はジャポネザでよかった!

2024年1月16日 • ラウラ・ホンダ=ハセガワ

尾崎家は大家族だった。長男と次男は結婚し、実家でそれぞれの家族と両親が皆一緒に暮らしていた。 その家で、富士子は生まれた。孫息子3人を持つ祖父は日本の女優の山本富士子の大ファンだったので、初の孫娘に富士子と名付けた。「山本富士子のように美しくて人気者になるといいな」と、家族は期待した。 富士子は明るい子に育った。しかし、高校一年生のとき、クラスメートの男子に「おまえ、オザキと逃げたんだってなぁ?」と、冷やかされた。 実は「フジコ・オザキ」は、ポルトガル語で「わたしはオ…

デカセギ・ストーリー
第四十四話(後編) 「ただいま帰りました」

2023年6月30日 • ラウラ・ホンダ=ハセガワ

前編を読む>> 3年ぶりにブラジルへ戻ったパウロは、日曜日、子供のころから通っていた教会へ一人で向かった。 パウロの家族は教会へ行く習慣がないので、「父さんと母さんはイビラプエラ公園へジョギングに行き、妹たちはまだ寝てるにちがいない」と思っていた。 アーチ型のドアとステンドグラスの窓の教会を久しぶりに見て、懐かしく思った。中に入って、先に来ていた祖母に挨拶をして、横に座った。 礼拝が始まり、讃美歌の時間になった。よく見ると、オルガンの演奏者は妹のカレンだった!しかも…

デカセギ・ストーリー
第四十四話(前編)「ただいま帰りました」

2023年4月20日 • ラウラ・ホンダ=ハセガワ

パウロは中学生のときから心に決めていた。「高校卒業後は、神学校へ入学し、宣教師になる」と。 両親はクリスチャンではなかったが、父方のおばあさんの影響で、パウロはクリスチャンの教育を受けた。 日曜日の朝は、バスに30分乗っておばあさんの家に行き、そこからおばあさんと2人のいとこと一緒に教会へ通った。礼拝は、大人の礼拝と子供の礼拝に分かれていたが、正午になると、皆、食堂に集まり、食事を共にして、楽しい時間を過ごした。特に、パウロは皆と話しをするのが大好きだった。 パウロは…

オハヨウ・ボンディア II
「バッチャン」は人気の言葉

2023年3月20日 • ラウラ・ホンダ=ハセガワ

わたしがまだ小さい頃、「ラウラのおばあちゃんは遠くに住んでいるのよ」と、母は写真を見せてくれながら、おばあちゃんのことを話してくれました。そして、12歳のとき、初めておばあちゃんの家を訪ねました。 祖父母、独身の叔父4人、おばあちゃんが預かっていた孫娘2人、同じ敷地に家を建てて暮らしていた叔父夫婦と5人の子ども、つまり、いとこだけでも7人も居ました。 サンパウロから10時間以上かけて、ようやく母と私が着くと、玄関で待っていたおばあちゃんが私の方に駆け寄って来て、強く抱き…

デカセギ・ストーリー
第四十三話 朋美もナルトも夢を追う

2023年1月30日 • ラウラ・ホンダ=ハセガワ

日本人の父親と日系ブラジル人の母親を持つ朋美は19歳。 デカセギとして日本へ行った朋美の母親は、はじめは名古屋のパン屋さんで働いていた。そのとき近所の自転車修理店のオーナーに誘われパン屋さんを辞めて自転車修理店で働くようになった。その後すぐに2人は恋に落ち、一緒に暮らすようになった。それから、朋美が生まれて、生活は充実、安定していた。 4年前、とても残念なことに、朋美の父親が肺がんで亡くなってしまった。親子の生活は一変した。両親は正式に結婚していなかったので、自転車修理…

デカセギ・ストーリー
第四十二話 バチャンが日本にやってくる!

2022年12月16日 • ラウラ・ホンダ=ハセガワ

僕の名前は竜馬・レオナルド、11歳です。「竜馬」は大河ドラマを見て坂本竜馬のファンになったブラジル人のパパイ1が選びました。パパイは日本名だけで良いと思ってましたが、日系三世のママエ2はレオナルド・ディカプリオの大ファンで「レオナルド」という名前をどうしても付けたいと、最終的にこの名前になったそうです。面白いことに、皆は「レオナルド」ではなく「竜馬」と僕を呼びます。僕はこの名前が大好きなので、とてもうれしいです。 両親は2007年に日本に来て、僕は2011 年、愛知県豊橋…

デカセギ・ストーリー
第四十一話 生き別れになったユゴと母親

2022年10月21日 • ラウラ・ホンダ=ハセガワ

ユゴが4歳のとき、両親は別れ、母のエネイダは一人で生まれ育ったポルト・セグロに戻った。 ユゴの父親は、このような別れ方をするだろうと思っていたからそんなに驚かなかった。 「エネイダは、テレビドラマで見るサンパウロの暮らしに憧れてただけだよ」 「そんなエネイダに一目ぼれなんて、本当にアホ息子だ」 「赤ちゃんのユゴの面倒も見ずに街に遊びに行くなんて、信じられない!」 と、親戚は最初からいろいろと言った。 父親が朝市で働いている間、ユゴはいつも近所に住む父の姉ティア1…

デカセギ・ストーリー
第四十話 日本を目指す4姉妹

2022年3月9日 • ラウラ・ホンダ=ハセガワ

内山家の4姉妹はいつも一緒だった。子供のころは、おばあちゃんの庭でままごと遊び、思春期には映画やコンサート、旅行へと、いつも一緒だった。 しかし、大人になると、それぞれが別の道を選び、離れて行った。 長女のユキは大手銀行の公募に合格し、有望なキャリアを積み上げていった。 次女のユリは仕事場で知り合ったカナダ人と結婚し、バンクーバーへ渡った。 三女のマリは幼なじみのケンちゃんと結婚し、二人は日本へ出稼ぎに行った。 四女のミナは大学卒業後、ブラジリアの新聞社に勤めてい…

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