「ニッケイ」とは何か。
株式の話をしているのではありません。日系、すなわち、世界中にコミュニティを作っている日本人移民とその子孫、「日系人」のことです。
「日系人」という用語は、状況、場所、環境などによって複数の多様な意味合いを持っています。日系人とは、他の人種の血が混じっていても自分を日系人であると認識している人も含みます。また、日本にいる日本人は日本から海外へ移住した人や日本へ戻ってきた彼らの子孫に対しても「日系」という言葉を使います。これらの日系人の多くは緊密なコミュニティを形成し、日本にいる日本人とは異なるアイデンティティを持っています。
現在、世界に260万から300万人ほどの日系人がいるといわれています。その多くは南北アメリカに住んでいます。彼らはそこで家族やコミュニティを形成し、その過程の中で、彼ら自身だけでなく定住した社会をも変えていったのです。
日系人であることの意味は何なのでしょうか?
ディスカバー・ニッケイサイトでは「日系人であることの意味は何か」という問いについて、討議・検証していきます。
- それは血統・血族・家系の問題なのでしょうか?
- それは自分が何者でどこに所属するのかといった問題なのでしょうか?
- 日系人であることは日本の伝統との関係を継続させることなのでしょうか?それとも忠誠・義務・名誉・忍耐などの文化的価値観を受け入れることを意味するのでしょうか?
- コミュニティや地理的要素は日系人であることにどのような影響力を持っているのでしょうか?
- 日系人であることは男性と女性にとって同じ意味があるのでしょうか?日本人移民の息子や娘にとって意味することは?世代によってはどのような意味の違いがあるのでしょうか?世代を重ねるにつれてその意味は薄れていくのでしょうか?
- 混血の日系子孫は、日系人であることに対してどのような影響力を持つのでしょうか?
日系人のアイデンティティは固定的なものではありません。それは、象徴的で、社会的、歴史的、政治的な性格を持っています。日系人たちは、時代の流れに従い、その時代にみあったさまざまな文化的要素を自らの文化として取り入れることによって、特有の文化を作り上げてきたのです。「日系人であること」はこのようなダイナミックな過程を背景にしているのです。このような過程は、国際的な資本主義が進む中で強化された長い歴史を持っているのです。
日系人のコミュニティは、日本だけでなく世界中に形成されています。そのコミュニティ形成過程は、今日も続いている日系人の流動性、捉え難い日系人アイデンティティの性質、国家の枠を超えた日系コミュニティの形成、日系であることの意味を解き明かしてくれます。
ストーリーで日系人の体験談を読んでみよう。
コミュニティのセクションで、世界の日系人に会おう。
「資料」のセクションで、日系人の歴史について学ぼう。
ここでの「日系人」の定義は、10カ国14参加団体から100人以上の研究者が加わった3年間の共同プロジェクト、国際日系研究プロジェクトの成果をベースにしています。研究成果は先駆的な2冊の出版物にまとめられました。
New Worlds, New Lives: Globalization and People of Japanese Descent in the Americas and from Latin America in Japan, Lane R. Hirabayashi, Akemi Kikumura-Yano, James A. Hirabayashi, eds. (Stanford: Stanford University Press, 2002)
『アメリカ大陸日系人百科事典―写真と絵で見る日系人の歴史』 (アケミ・キクムラ=ヤノ編、明石書店、2002年) [英語版: Encyclopedia of Japanese Descendants in the Americas: An Illustrated History of Nikkei, Akemi Kikumura-Yano, ed. (Walnut Creek, CA: AltaMira Press, 2002).]
Illustration by Roxsy Lin