ジャーナリスト、ノンフィクションライター。神奈川県出身。慶応大学法学部卒、毎日新聞記者を経て独立。著書に「大和コロニー フロリダに『日本』を残した男たち」(旬報社)などがある。日系アメリカ文学の金字塔「ノーノー・ボーイ」(同)を翻訳。「大和コロニー」の英語版「Yamato Colony」は、「the 2021 Harry T. and Harriette V. Moore Award for the best book on ethnic groups or social issues from the Florida Historical Society.」を受賞。
(2021年11月 更新)
この執筆者によるストーリー
第53回 アジア系アメリカとはなにか
2024年10月25日 • 川井 龍介
知ることからはじめる 中国の武漢で最初に確認された新型コロナウイルスがアメリカでも猛威を振るったときに、アメリカのトランプ大統領や政権の幹部がこのウイルスを「チャイナウイルス」と呼んだ。ウイルスと中国が結びつき、やがてアジアと結びついたのだろう。この結果アメリカ国内で中国系はじめアジア系の人々が攻撃、差別される事件が頻発した。 アメリカ国内でアジア系に対するこうした事例としては、古くは、中国系移民などに対する排斥運動や戦時中の日系…
第52回(その3)英語落語で日本と海外をつなぐ ・セントルイス日本祭で公演の鹿鳴家英楽さんを追う
2024年10月11日 • 川井 龍介
その2を読む 英語で落語をきかせる−−英語落語を日系社会をはじめ世界で広めている鹿鳴家英楽さん。このほどアメリカ・ミズーリ州のセントルイスで開かれた「セントルイス日本祭」に主演者として招かれて英語落語を披露した。アジア系アメリカ人の文化にも詳しい英楽さんが、英語や多文化に興味をもつきっかけは何だったのか、この分野でどのような活動をしてきたのかをきいた。 小学生でアイヌ語と出合う 川井: 英楽さんの個人的なことを時代をさかのぼってうかがいます。英…
第52回(その2)英語落語で日本と海外をつなぐ ・セントルイス日本祭で公演の鹿鳴家英楽さんを追う
2024年9月27日 • 川井 龍介
その1を読む 英語で落語をきかせる「英語落語」を日系社会をはじめ世界で広めている鹿鳴家英楽さん。このほどアメリカ・ミズーリ州のセントルイスで開かれた「セントルイス日本祭」に主演者として招かれて英語落語を披露した。アメリカをはじめ海外で落語はどのように知られているのか。日本のユーモアがどう理解されているのか、また、落語のほかにも日本人が活躍しているストーリーテリングなどについてきいた。 日本文化への誇り 川井: アメリカの日本人や日系アメリカ人は、落語をどのようにとらえ…
第52回(その1) 英語落語で日本と海外をつなぐ ・セントルイス日本祭で公演の鹿鳴家英楽さんを追う
2024年9月13日 • 川井 龍介
英語で落語を演ずる「英語落語」は、いまやさまざまな国の人に親しまれている。落語という日本的なユーモアと語りの世界が国境を越えて通用する日系の文化のひとつといえるこの英語落語に長年にわたって取り組んでいる代表格に、鹿鳴家英楽(かなりや・えいらく、本名・須藤達也)さん(65)がいる。 英語の世界への興味からスタートして、日系アメリカ人の演劇などにも精通した英楽さんは、英語で落語を広める一般社団法人・英語落語協会(2020年設立)の代表理事をつとめる。同協会では、これまでに…
第51回 コンゴに置き去りにされた日本人の子
2024年8月23日 • 川井 龍介
『太陽の子』があぶりだす 『太陽の子』(集英社、2022年出版)というタイトルのノンフィクションを初めて店頭で見たとき、興味をひかれた。サブタイトルに「日本がアフリカに置き去りにした秘密」とあり、それがアフリカで日本人と現地の女性の間に生まれた何人もの子どもだったからだ。 1970年代から80年代にアフリカの中央部、コンゴ共和国(当時はコンゴ人民共和国)で鉱山事業に携わった、日本を代表する鉱山企業「日本鉱業」のもとで働いていた何人もの日本人男性が、現地の女性との間に…
第50回 アスリートと日系
2024年8月9日 • 川井 龍介
苦慮した中での国籍選択 パリオリンピックについて、日本のメディアは日本代表選手の動向、それも主としてメダルに絡んだ選手について何度も熱心に報じている。外国の選手の活躍や、マイナーな競技についても知りたいところだが、なかなかこれらは扱われない。 そんななかあるとき新聞の「日本出身の出口クリスタが金メダル」という見出しに目をひかれた。「日本人」とか「日本の」ではなく、「日本出身」という表現にである。彼女は柔道女子57キロ級のカナダ代表選手だが、生まれも育ちも日本なのであ…
第49回 日本国民、日本人、日系(ニッケイ)
2024年7月26日 • 川井 龍介
日本人とは何か? ミスコンテストでの議論を通して、前回本欄で考えてみた。いろいろな定義や日本人像はあるだろうが、結局「日本人」というものは定義できないようだ。その一方で、「日本国民」は、「日本国籍をもっている人」と定義できる。 現在、テレビで放送され人気を博しているNHKの連続ドラマ小説「虎に翼」は、女性法律家の生涯を描いているが、そのなかで日本国憲法の話がたびたび登場する。たとえば、法の下の平等を謳った憲法14条(以下)である。 「すべて国民は、法の下に平等であつて…
第48回 日本人らしさとは?
2024年7月12日 • 川井 龍介
問題は国籍? 血筋? パリ・オリンピックが間もなくはじまり、各競技とも日本代表の内定選手が次々と発表されているが、そのなかには、外国にもルーツをもつ選手も数多くいる。テニスの大坂なおみ(父がハイチ出身)をはじめ、男子バスケットボールの八村塁(父がベナン出身)、女子バスケットボールの馬瓜エブリン(両親がガーナ出身)、陸上男子100メートルのサニブラウン・アブデル・ハキーム(父がガーナ出身)、同じく110メートルハードルの村竹ラシッド(父がトーゴ出身)などだ…
第47回 日本人の海外移住
2024年6月28日 • 川井 龍介
海外在留の日本人は129万4000人 近年、日本を出て海外で暮らす日本人が増えているという。それは日本の国力の衰えを反映しているのだろうか。それとも日本にない何かをもとめて飛び出そうという日本人が増えたからだろうか。 このほど出版された『流出する日本人 海外移住の光と影』(大石奈々著、中公新書)は、近年の海外移住の最前線を調査し、移住の実態とその背景にある事情を解き明かしている。 現代の移住には、企業からの派遣をはじめ、留学やワーキングホリデーのように働きながら学…
第46回 南北戦争で従軍した日本人がいた?「南北戦争を戦った日本人ー幕末の環太平洋移民史」を読む
2024年6月14日 • 川井 龍介
アメリカの南北戦争(1861年4月〜65年5月)といえば、奴隷制度の存続などをめぐるアメリカの内戦であり、西部劇の舞台やテーマとしてテレビや映画で観るくらいのものというのが一般の日本人の理解ではないだろうか。日本との接点はありそうもない。 しかし、この南北戦争に実は二人の日本人が兵士として従軍していたという。いったいどういうことか。だれがなぜ従軍していたのか。素朴な疑問もさるころながら、アメリカの移民史という観点からも非常に興味をそそられる。 他国の戦争に従軍する日…
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