日系(ニッケイ)—をめぐって

日系ってなんだろう。日系にかかわる人物、歴史、書物、映画、音楽など「日系」をめぐるさまざまな話題を、「No-No Boy」の翻訳を手がけたノンフィクションライターの川井龍介が自らの日系とのかかわりを中心にとりあげる。
このシリーズのストーリー

第11回 「ジョン万次郎」を英語で出版—カリフォルニア在住の貿易業、尾崎賢助さん
2022年7月8日 • 川井 龍介
高知県出身で、長年アメリカで貿易業などを営んできた尾崎賢助さん(83)=カリフォルニア州在住=がこのほど郷土の偉人、ジョン万次郎の生涯を追った英語の小説「The Destiny of a Castaway JOHN MANJIRO」を自費出版した。中米やアメリカでさまざまなビジネスに挑戦してきた尾崎さんに、出版の動機や反響、映画化構想などについてきいた。 * * * * * Q. なぜジョン万次郎をとり上げようと思ったのですか。 尾崎: 万次郎は、私の出身地高知県…

第10回 舞鶴と桜と日系アメリカ兵士
2022年6月24日 • 川井 龍介
昨年のいつだったか書店のノンフィクションのコーナーで「舞鶴に散る桜」(細川呉港著、飛鳥新社、2020年出版)という本に目をひかれた。サブタイトルに「進駐軍と日系アメリカ情報兵の秘密」とあったからだ。 舞鶴(京都府)といえば、日本海に面した港町で、戦後中国大陸やシベリアなどから日本海をわたって日本に引き揚げてきた日本兵や民間人たちの故国日本への玄関口となった地として知られる。しかし、それが進駐軍や日系アメリカ兵とどう関係があるのだろうか。そして、舞鶴の桜とは何を指すのか…

第9回 続・ウラジオストク、日系の足跡
2022年6月10日 • 川井 龍介
日本に一番近いヨーロッパ ロシアの極東の港湾都市、ウラジオストクに明治から昭和の初期にかけて形成された日本人の居留地のことについて前回(第8回)で触れたが、こうした歴史的な事実とは別に、近年ウラジオストクは、観光地としても日本から注目されていた。 改めて調べてみると、ウラジオストクの魅力を紹介するウェブ上のサイトもいくつか見つかった。そのなかでYouTube「ウラジオストクチャンネル」は、ウラジオストクの魅力を整理して伝えている。「ウラジオストクを旅する43の理由」(2…

第8回 ウラジオストク、日系の足跡
2022年5月27日 • 川井 龍介
今年2月にはじまったロシアのウクライナ侵攻によって、日本とロシアの関係が悪化したことで、日ロの歴史にまつわる地や人々は複雑な思いをしているのではないか。このほど、北陸の海岸線を取材旅行した際にふと思った。 旅は新潟市からはじまり富山、石川、福井と海岸線を車で走った。途中能登半島も一周し突端の禄剛崎へも足を運んだ。すると「ウラジオストック772キロ」という標識がある。ずいぶんとロシアも近い。 このあと再び西へとすすみ、福井県に入ると間もなく観光名所東尋坊に達する。ここから…

第7回 横浜の海外移住資料館、リニューアル
2022年5月13日 • 川井 龍介
移住、ニッケイを知る手掛かりに 移住や移民についての資料を展示しているユニークな存在として知られる「JICA横浜・海外移住資料館」が、このほどリニューアルオープンした。 明治時代から北米、南米に移住した移民の歴史をはじめ、移住先での仕事や生活の実態を紹介した展示の基本はこれまでと同じだが、映像や動画などを利用することでよりわかりやすくなり、また世代を重ねてきた「日系(ニッケイ)」社会のひろがりを考えさせる展示になっている。 横浜港は、明治維新による開国後、海外に開か…

第6回 ルーツを探して -テキサス・福山編-
2022年4月22日 • 川井 龍介
日本からアメリカへの移民というと、戦前は西海岸の諸州などでおもに労働者として雇われるというのが一般的だった。しかし、広く全米をみると、まれにだが日本人による入植事業という自営による移民という形もあった。 20世紀のはじめにフロリダ州南部につくられた大和コロニーはそのひとつだが、州単位でみると同じ南部のテキサス州での入植事業がもっとも盛んだった。 日露戦争の前、在ニューヨーク総領事の内田定槌は、テキサス州の米作の将来性を官報などで世に知らしめ、日本人の入植を奨励した。この…
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ジャーナリスト、ノンフィクションライター。神奈川県出身。慶応大学法学部卒、毎日新聞記者を経て独立。著書に「大和コロニー フロリダに『日本』を残した男たち」(旬報社)などがある。日系アメリカ文学の金字塔「ノーノー・ボーイ」(同)を翻訳。「大和コロニー」の英語版「Yamato Colony: The Pioneers Who Brought Japan to Florida」は、フロリダ歴史協会による2021年ハリー・T・アンド・ハリエット・V・ムーア賞(民族集団または社会問題に関する最優秀図書賞)を受賞。
(2021年11月 更新)
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