ディスカバー・ニッケイ

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デカセギ・ストーリー


2012年6月18日 - 2024年4月18日

1988年、デカセギのニュースを読んで思いつきました。「これは小説のよいテーマになるかも」。しかし、まさか自分自身がこの「デカセギ」の著者になるとは・・・

1990年、最初の小説が完成、ラスト・シーンで主人公のキミコが日本にデカセギへ。それから11年たち、短編小説の依頼があったとき、やはりデカセギのテーマを選びました。そして、2008年には私自身もデカセギの体験をして、いろいろな疑問を抱くようになりました。「デカセギって、何?」「デカセギの居場所は何処?」

デカセギはとても複雑な世界に居ると実感しました。

このシリーズを通して、そんな疑問を一緒に考えていければと思っています。



このシリーズのストーリー

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第三十一話 ユウジは偉い!

2019年6月10日 • ラウラ・ホンダ=ハセガワ

ユウジと僕は幼なじみ。小さい頃からずっと一緒で、家も近かった。学校帰りに2人で道草を食い、家に帰ってよく叱られたもんだ。 小学校は一緒だったが、中学生になると僕は私立校へ通うことになった。日本へ出稼ぎに行っていた父の仕送りのおかげで生活は安定し、僕と妹は私立校へ通い、母はパートの仕事をしなくてもよくなった。 学校は違っても、週末には、必ず、ユウジと一緒にサッカーをしたり、流行っていたゲームをやったり、アニメを見たりした。 しかし、それも束の間だった。ある日、学校から帰…

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第三十話(後編) ジョアナの大冒険

2019年5月22日 • ラウラ・ホンダ=ハセガワ

前編を読む>> 生まれ育った農村から一度も離れたことがなかったジョアナは、49歳の時、娘のルイーザがサンパウロの看護学校に通うことになり、落ち着くまでの間、サンパウロに一緒に住んだ。 郊外に小さな家を借りて、満員のバスで通勤した。娘のためにと、慣れていないことにもいろいろと挑戦した。田舎とは全く違う都会の生活は、ジョアナにとって大冒険だった。 半年後、ルイーザは二人の先輩と同居するようになった。ジョアナは自分の役割は果たしたと、安心して田舎に戻り、再び畑仕事と家事の生…

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第三十話(前編) ジョアナの大冒険

2019年4月17日 • ラウラ・ホンダ=ハセガワ

子供の頃からジョアナは働き者だった。朝早くに両親と兄3人で畑へ出かけ、11時半に家に戻り、2人の弟と昼飯を食べてから学校へ一緒に通った。 あと3ヶ月で小学校を卒業するという時、母親が重い病気を患った。ジョアナは看病しながら、母親の分の畑仕事もしなければならなくなった。そのため、学校には行けなくなったが、家族のためだと思い、懸命に畑仕事と家事をこなした。 18歳になると隣村の農家に嫁ぎ、すぐに3人の子供に恵まれた。午前中は義母に子供を預け、義父と夫と一緒に畑へ出かけ、午後…

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第二十九話 デカセギの歌

2017年8月17日 • ラウラ・ホンダ=ハセガワ

エリックとエミリーは双子の兄妹。5歳のときに両親が離婚し、父親がふたりを引き取った。その2年後、父親が日本へ働きに行くことになり、父方の祖父母がブラジルでふたりの面倒を見ることになった。 祖父は日本食品店、祖母は美容室をそれぞれ営んでいたので忙しかったが、エリックとエミリーは愛情たっぷりに育てられた。 日系二世の祖父母は日本の歌が得意で、エリックとエミリーは小さい頃から日本の童謡や歌謡曲を歌っていた。 エミリーは地元のちびっ子のど自慢大会に出たこともあったが、エリック…

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第二十八話(後編) 27年ぶりの里帰り

2017年4月24日 • ラウラ・ホンダ=ハセガワ

前編を読む >> シバタ・マサヒロ、46歳、日本での生活は25年。生まれ育ったプレジデンテ・プルデンテに戻ったのは27年ぶり。 町は思っていたより変わっていなかった。「自分のことなど覚えている人なんて、もう居ないだろう」と思いきや、誰かが声をかけて来る。 「あんた、わしのこと覚えてる?キヨシのばあちゃんだよ」 「まぁ、ちっとも変わっておらんね!」 「『ファミリア1』も一緒?」 「どう?プルデンテはあれから変わったでしょう?」 「日本の方と結婚したんですってねぇ…

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第二十八話(前編) 27 年ぶりの里帰り

2017年2月6日 • ラウラ・ホンダ=ハセガワ

「マッサが帰ってくるんだって!」 「えっ!?シバタさんとこの?」 「そう。三男のマサヒロが帰ってくるんだって!」 「何年ぶりかしら?」 「20数年かねぇ?」 マサヒロが生まれ育ったプレジデンテ・プルデンテを後にしたのは1990年5月頃、19歳だった。 子どもの頃は、両親と兄二人、家族5人で暮らしていた。学校の帰りには友達と原っぱでボールで遊んだり、凧をあげたり、自分の家にみんなを誘いおばあちゃん自慢のぼた餅を一緒に食べたり、夜は母親とテレビを見たりした。とても幸…

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このシリーズの執筆者

1947年サンパウロ生まれ。2009年まで教育の分野に携わる。以後、執筆活動に専念。エッセイ、短編小説、小説などを日系人の視点から描く。

子どものころ、母親が話してくれた日本の童話、中学生のころ読んだ「少女クラブ」、小津監督の数々の映画を見て、日本文化への憧れを育んだ。

(2023年5月 更新)