リトル東京 ~再生の街~
22世紀、リトルトーキョー。
舞い散る粉雪を見上げ、俺はコートの襟を立て、両手に息を吹きかけた。
一世紀前ならこの街で、こんな雪が降ることはなかったと、いつだったかトキオが俺に教えてくれた。トキオとは交番勤務のAIだ。この街がAIとの共存を決めてから、トキオはずっとこの街の治安を守る為、些細な犯罪にも目を光らせてきたらしい。人間の年齢にしたら、喜寿をとっくに迎えているはずだが、トキオの外見は二十代後半の俺と変わらなかった。
AIに人間の職業を奪われるなどと、騒がれた時代もあったが、今ではAIに対し寛容な街は珍しくなくなった。逆に言えば、AIと共存できない国家は、衰退の一途をたどり、いつの間にか消滅してしまった。それ…